小説 鷹の口づけ


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本誌沿い

夜魔のおにぎり

2016.07.30  *Edit 

戦の後始末が終わると、夜魔の人々はさっさと寝てしまうことが多い。ずっとずっと続いている戦には明確な勝利など無い。故に戦から帰ったあとに勝利の宴を行うような風潮が出来ないのも道理なのだろう。
戦の後は大抵腹が減る。しかしほんの少しざわついている今ならまだ誰かが台所にいるかも知れない。
黒鋼は最低限の刀の手入れだけをすると、矢の手入れをしているファイをおいて、台所へと向かった。
案の定、明日の食事の下ごしらえをしている人が居て、残り物は何かないか尋ねた。
「生憎、米くらいしかありません」
「生米じゃぁないんだろう?ならそれでいい」
辺りを見回しても、漬け物や佃煮の類さえ無いらしい。黒鋼は塩を少し貰うと、その場でさっと塩結びを二つ作り、自室に戻る。
さっさと刀の手入れをしてしまわなければ。
そう思いながら襖を開けると、ファイが心配そうに自分を見上げた。
「なんだ?」
解らなくても伝わるだろうとそう言うと、ファイはすっと指を刀に向けた。
「あぁ」
手入れもそこそこに居なくなって、ファイなりに心配したのだろう。
「問題ねぇ」
黒鋼はそう言うと、塩結びが乗った皿を脇に置き再び手入れを始めた。
あからさまにファイがホッとする。
そして塩結びが気になるのか、じっと見つめている。皿を少し押してやると、しかしファイは頭を振った。
やがて手入れが終わる。
黒鋼は塩結びを手に取った。一つ、ファイに渡そうとしたがファイは再び首を振った。
「んーん」
断られた黒鋼は少し思案したが、自分の塩結びを半分に割って断面を見せる。ファイが覗き込んで首を捻った。何かが不思議らしい。
「・・・?」
「何言ってんだかわかんねぇ」
黒鋼がそう言うと、ファイは少し考えてからぎゅっと瞳を閉じ、口を尖らせた。具が無いのが不思議だったようだ。
「あぁ、梅干しか。無ぇ」
黒鋼は塩結びを二つとも腹に収めると、ファイを抱き寄せた。
「次は、お前を喰う番だ」
「えっ、まさか黒様、そのための腹ごしらえ?」
馬のような、ドラゴンのような動物に乗って移動するとは言っても、戦の後は体力的にご遠慮願いたい。
「さぁな」
素知らぬ返事の黒鋼からファイは離れようとして動きを止めた。黒鋼も気付いたようだ。
「あれ?オレ、言葉が分かるよ」
「あぁ。あいつ等、やっと来たか」
黒鋼は満足げに口の端を上げる。
「小僧どもが近くに来た祝いだ」
そして奪うような口づけは強制的にファイの身体から力を奪い、互いに激しく貪り合い続けた。

次の戦から帰ると、ファイが包みを渡してきた。
「黒たん、おにぎり作ったから、お手入れ終わったら食べよう」
「どうしたんだ?」
「戦に行く前にオレが作ったんだよ、意外と簡単だね」
具は佃煮だった。
「ふうん」
黒鋼があっという間に完食する。
「また作るから、何か入れて欲しい具があったら言ってね」
「鮭」
「?・・・わかった」
ファイは首を捻り、しかし翌日黒鋼に酒結びを手渡すことになる。
そしてそれからひと月後、二人は月の城でやっと小狼に再会した。










元となった大川先生のツイートはこちら。
https://twitter.com/nanase_ohkawa/status/758603670204264448



先生、萌えをありがとうございます。m(_ _)m


 


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