小説 鷹の口づけ


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R18作品集」
堀鐔

階段下倉庫前日

2015.02.01  *Edit 

「ファイー、お昼一緒に食べようっ」
ユウイがお弁当を持って化学準備室のドアを開けた。
「あ、黒鋼先生・・・」
「おう。一緒に食うか?」
何気ない会話だが、ユウイの胸は高鳴った。先日ファイと3人で買い物に行った時からユウイは黒鋼を意識していた。
「ユウイ、いつもね、黒たんと屋上で食べてるんだ。一緒に行こうっ」
ファイはそう言うとユウイのお弁当を取り上げ、黒鋼に渡した。
「何で俺が持たなきゃならないんだっ」
黒鋼が怒鳴る。ファイは心外だとばかりに答えた。
「だって、オレもユウイもお弁当を作ってきたんだよ。黒たんは食べるだけでしょ? 働かざる者食うべからず、だよ」
「ちっ。わかったよ」
「いいのー?」
「いいの!」
黒鋼はこんな時ばかり正しい諺言いやがって、などとぶつぶつ言っていたが、結局二つのお弁当を持って屋上に上がっていった。
     
「黒様—、オレのも食べてよぉ」
ファイが口をとがらせた。ファイのお弁当はいつもどうり黒鋼の好みに合わせた日本食。ユウイのお弁当はサンドイッチだった。黒鋼は目新しいものについ手が伸びてしまったのだった。
「あぁ。両方食べりゃいいんだろ」
「何それ、イヤなら食べなくたっていいもんーだ」
べー、と舌を出す。
「どっちなのかはっきりしろ」
「気に入っていただけたみたいで良かったです」
ユウイはにっこりとして言った。ファイは一人でいいもんいいもんとぶつぶつ言いながら黒鋼専用の箸でおかずをつついている。
「ファイ、そんな顔しないで。もし残っちゃったらおれが食べるから」
「たまにはパンも悪くねぇな」
「ありがとうございます。ヤキモチ焼かないで、ね?」
供をなだめるように、ファイに呼びかけた。
「やだ。黒様が食べてくれるまでオレも食べないもん」
「うっせー奴だな。食うって言ってんだろ」
やってられないとばかりに黒鋼はそう言うと、ファイの箸を持った手ごと掴み、自分の口に箸を運んだ。そして反対の手でファイの頭を掴むと、ファイに口移しで食べさせた。
ファイは大きく眼を見開きながらごくんと飲み込んだ。瞳を伏せ、顔を真っ赤にしている。
「く、黒様・・・ユウイが・・・」
ユウイはその様子を呆然と見ていた。チクリ、と胸が痛む。やっぱり黒鋼先生はファイのものなのだ、と改めて見せつけられた気分だ。
と、黒鋼がユウイを見た。目が合い、ドキリとする。射貫くような赤い瞳でじっと見つめられ、鼓動が早まった。
ほんの1秒かそこらだというのに、その瞳に意味があるかのような視線に、ユウイはドキドキした。
まるで誘ってるかのような、魅力的な瞳ー。
心の中を見透かされているような気がして、ユウイは思わず眼を逸らした。
     
     
じっと奴を見つめると、顔を赤くして眼を逸らす。この同じ顔は同じように嬌うのだろうか。実直そうな話し方からして、正攻法では拒否られるだろう。出来るだけ自分のペースで持って行きたかった。

決行は明日、金曜日の放課後だ。





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