小説 鷹の口づけ


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パラレル 」
黒ファイ地球防衛軍

17 侑子登場

2013.07.09  *Edit 

17 侑子登場

・・・ファイ・・・ファイ・・・その紅茶は絶対に飲んではダメよ・・・
ファイは瞳を開けた。また幻聴だろうか。最近時々侑子先生の声が聞こえるような気がする。でもいつ瞳を開けてもそこに侑子先生はいない。
・・・オレ、いよいよおかしくなっちゃったのかな・・・
捕まってから全てを警戒して何も食べていないから、やはり幻聴なのかも知れない。もう、声を出して独り言を言う元気もなかった。
そして最初に星史郎先生の手で紅茶を飲まされた他は、不思議な幻聴が言うとおり紅茶には手をつけていない。それなのに星史郎先生はおかしな事を言っていた。
「紅茶を飲んでくれたのですね」
と。
ファイは訳が分からなかったが、星史郎に都合のよいように思ってくれている様だったから、特に否定もしなかった。それに、否定する気力も無かったし。
またある時は侑子のまた違う言葉が聞こえて来た事もあった。
「もう少しよ。貴女を助ける準備を黒鋼と一緒に進めているわ。それにあと少しで足枷が切れるから、もう少しだけ、我慢してね」
黒鋼が・・・?
足枷が切れる・・・?
本当だろうか?
黒鋼の性格なら、きっと囚われの彼女を助け出さんとするだろう。でも、オレと黒鋼が付き合っていたのはまやかしだ。催眠がかかっている間だけのことなのだ。催眠が解けた時、きっと黒鋼はなぜオレと付き合う事になったのか、不思議に思うことだろう。オレ達は飛王理事長達の企みを暴く仲間なだけのことなのだから。
そう、ファイは思っていた。


かくして侑子は理事長室の真上辺りに造られた隠し部屋にいた。そして開口一番
「ずっと独りぼっちで宴会をしていたから、つまらなかったわ」
と宣わったのだった。どうやら予め快適に過ごせるように準備をしていたらしく、床には真っ赤な絨毯が敷かれ、ソファ、冷蔵庫などが装備されていた(当然冷蔵庫の中身は酒類とおつまみのみである)。
「黒鋼はなかなか助けに来てくれないしー」
「なんで俺なんだよ!だいたい、なんで俺に手紙を送ったんだ?」
侑子はニヤリと笑うと言った。
「だって、7時間目のことを調べてたんでしょ? でもアレじゃぁばれるわよ。それにファイが拉致られたのも見てたしね」
「見てたのなら助けろよ!どいつもこいつも・・・」
黒鋼が悪態をつくと侑子は言った。
「あら、やっぱり目的や催眠の手段は知っておかなきゃいけないじゃない? それにそんな事言っていいのかなぁ? この部屋はファイの居る部屋にも通じているのよ。実は時々ファイの所にお邪魔してたのよね。すぐに助けられるように準備していたんだけどなぁ」
意味あり気に言葉を切った侑子は黒鋼に目をやり、黒鋼の反応を確かめる様に口角を上げた。
「!!」
黒鋼は真っ赤な顔をして侑子を睨んでいる。
「やはりここから繋がっているのですね」
天照の言葉に侑子は頷いた。
「ファイのところに星史郎がいない時間を狙って行ったの。黒鋼はなかなか来ないしさ、ヒマだったからファイにつけられた足枷の構造を分析してファイの力でも強く引っ張るだけで切れるように少しずつ細工したってワケ」
「でかした!」
思わず黒鋼は声を上げ、天照と草薙がくすくす笑い出し、黒鋼は更に真っ赤になった。
「ファイはお元気そうでしたか?」
にっこりと知世は微笑んで、侑子に尋ねた。
「えぇ、大丈夫よ。ただ、ちょっと疲れているみたいだけど」
「その足枷は普通のものとは違うと言うことですか?ファイは壁際に固定されていないようですが?」
千歳の質問に、侑子は調べたことを話して聞かせた。その内容は、もしも星史郎が聞いたらその正確さに舌を巻いたことだろう。
「なるほど、それで壁などに拘束する必要がないのですね」
千歳の言葉に、侑子は頷くと言った。
「星史郎はその枷を鬼児(おに)と呼んでいるようね。でも壁の中に仕込んだ鬼児にまで細工されるとは星史郎も思ってないはずよ。それから、ファイが飲まされた洗脳薬入りの紅茶は少し頂いてあるわ。その成分を元に、あの香りを造ったのよ。言ってみればワクチンみたいなものね」
千歳が紅茶を受け取り、早速簡易試験紙を用いて成分検査を始めた。
「とりあえずこっそりと催眠状態を解く必要があるな。後遺症がある奴も居るかもしれないし、問題は場所と同時にどれくらいの人数に対して香りを嗅がせるか、だ」
黒鋼が言うと、草薙も頷いた。
「特に混乱が起きてもいい場所を選ばないと・・」
「場所は柔道場辺りはどうでしょうか」
知世が言った。
「そうですわね、剣道部の方と柔道部の方にご協力をお願いしましょう。千歳、後遺症等についてはどのようにお考えですか?」
天照の問いにちょうど試験を終えた千歳が答えた。
「特に問題ないでしょう。侑子のお陰で成分が分かりましたから」
そして草薙と同じように、剣道部・柔道部のメンバーが無事に正気を取り戻したのだった。そして部員達は口々に
「そう言えば最近怪我が多かった」とか、
「気がつくと補習が終わっていた」とか、
明らかに催眠の影響と思われる記憶障害を含めた影響を侑子や天照に報告し始めたのだった。






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