小説 鷹の口づけ


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パラレル 」
黒ファイ地球防衛軍

16 力の秘密

2013.07.08  *Edit 

16 力の秘密

黒鋼達が画面上で赤い点として見ていた、ファイの元に訪れた人物は星史郎だった。
「また何も食べていないのですか? 体調を崩しますよ」
ファイの隣にやってきた星史郎は、優しくそう言うと、ファイの顎を掴んだ。しかし言葉と裏腹に瞳は笑っていない。
「命令を聞けないとは催眠の効きが悪いようですね。強力な薬は身体をぼろぼろにしますから、あまり使いたくないのです。素直に食事を摂りなさい」
星史郎は、ファイに自分が考えていたように催眠がかからないのを訝しく思っていた。誰かに邪魔をされるとは考えにくい。自分の考えではとっくにファイの記憶を失わせるくらいの催眠を掛けているはずなのだ。
勿論それは侑子が細工したからに他ならないのだが、星史郎がそれを知る由もない。
「次に僕が来るまでに食事を全て食べておきなさい」
星史郎はそう言うと、部屋を出て行った。


「なぜまだあの生徒は正気を保っているのだ?それに前理事長はまだ見つからないのか」
飛王の苛立ちは頂点に達していた。
「はっ、申し訳ありません」
カイル先生が恐縮しながら答えた。
自分が理事長に就任して4ヶ月が経とうとしている。生徒や保護者に対しては理事長が代わったと言っているが、実は書類上の理事長はまだ侑子だった。
学校法人として理事長変更の届出書を提出するには、学園の印章だけでなく侑子個人の印も代表者印として必要だった。しかもこの場合は侑子本人が届け出なければ、代表者印の押された委任状でも無い限りは受け付けて貰えないことが提出する段になって初めて分かったのだった。
 しかしその時侑子は既に雲隠れしており、必要な印章の在処は分からない。なんとか金庫を開け、学園の印章を見つけたものの、代表者印である侑子の印はそこにはなかった。そして侑子の自宅も空き巣を装い捜索したが、結局見つけることは出来なかったのである。
 そういう訳で飛王はしつこく侑子を捜していたのだった。もし運悪く殺してしまっても、その場合は死亡確認書があれば副理事長である自分の印が代理で使用できる。むしろ侑子が死んでくれた方が、飛王にとっては手っ取り早かった。しかし死亡確認書の捏造は出来なかった。これは警察本部が作成する物だからだ。いくら堀鍔学園一帯が一選挙区になったとはいえ、その中に交番こそあれ、独立した警察署はなかったのである。もっと強力な催眠を掛けられるようにならなければ、交番勤務の警察官を操り警察本部内で作業させることは不可能だった。
飛王は力の籠もった指輪をそっと撫で、呟いた。
「この力をパワーアップさせなければ、目的は果たせない」
飛王は星史郎を呼び出した。
「夏休みにもう一度催眠を掛けておけ。生徒、職員とも全員だ」
「わかりました。ゼミを開いて全員が出席するよう、通知を出しましょう」
「うむ。効果によっては夏休み中に数回行え」
「はい」
軍事国家建設、という知世達の考えは概ね間違っていなかった。飛王は7時間目の演習中に生徒同士が撃ち合う様子をまるで自宅で映画を見るように鑑賞していた。そして銃の扱いが上手い生徒や、サバイバルゲームを得意とする生徒を見つけ出し、計画が上手くいった時の幹部候補生としてチェックしていたのだった。
 軍事力を持つことは、すなわち権力を得ることと同意だ。飛王はまずは学園を、次にこの学園都市を、やがては国の重鎮を操ることによって陰からこの国を支配しようと考えていたのである。
 そして催眠を掛ける不思議な力の秘密は飛王達が持つ不思議な石が施された指輪にあった。なんとその石は人を操る音を放っていたのである。
 飛王がその石に出会ったのは、ちょうど副理事長に就任した年、ある山あいの街を一人旅している時のことであった。人が立ち入ることが解禁されたばかりのその鍾乳洞にあった黒く輝く大きな石は、飛王にキーンという音と共に囁いた。まるで脳に直接語りかけるように。
「この音を聞いても正気を保っていられたなら、貴方には世界を征服する力がある。その時は私を身につけなさい」
驚いて飛王がその石に手を触れると、その石は音を止め、大小4つの石に分かれた。そして元々反侑子派で飛王についていたカイル先生と星史郎先生に見せると、二人とも正気を保ったまま、改めて飛王に忠誠を誓ったのだった。その後それぞれが石を指輪にして身に着け、飛王は軍事国家建設が己の使命だと改めて確信し、三人は強さに個人差はあるものの、指輪をかざすことで人を洗脳することが出来るようになったのだった。
 割れた石のうち、一番大きい石が真の力の源だ。チャイムを学園中に鳴らすメイン放送室の機器の奥に厳重に鍵を掛けて保管してある。石の発する音がチャイムに乗って学園中に響き渡り、全ての生徒と職員を催眠状態にし、催眠が掛かった者は指輪を持つ三人の命令だけを聞く。しかしそれは恒久的ではなく、定期的に音を聞かせなければ効果は薄れてゆく。
だからこそ放送ではなく、一日に何度鳴ってもおかしくないチャイムを利用したのだった。






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