小説 鷹の口づけ


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パラレル 」
黒ファイ地球防衛軍

15 突入準備

2013.07.07  *Edit 

15 突入準備

「侑子はこの学園内にいます」
千歳の言葉に黒鋼は思わず言った。
「そんな馬鹿な、それならなぜ飛王はまだ理事長でいられるんだ?」
「学園内にいるだけです。多分どこかの隠し部屋にいるのでしょう」
千歳は言った。
「隠し部屋を作ると言い出した時は何を考えているのかと思ったものですが、役に立ったようで良かったですわね」
天照は溜息をつきながら言った。
「じゃぁどうする?ファイと侑子先生、二人とも同時に助けに行くのか?でも多分場所は違うよな」
黒鋼の言葉に知世が言った。
「たぶんではなく、絶対、ですわ」
「わかってるよっ。で、どうするんだ、二手に分かれるのか?」
「そうですわね、それよりも分析の結果、香りの方はいかがでしたか?」
知世は千歳に尋ねた。
「えぇ、微かに残っていた香りを増幅することはできました。しかし主成分が分かりませんからどのくらい効果があるか分かりません」
千歳は眉根を寄せた。
「では、とりあえず実験してみましょうか」
知世がにっこりと微笑んだ。

数日後、被験者には草薙が選ばれた。
実験が成功するにしろしないにしろ、味方になれば頼もしく、また効果が薄ければ多少無茶をして記憶を呼び覚まそうとしても大丈夫そうだからだ。それに黒鋼と同じクラスで仲が良いから不自然でもなかった。
いつかのように、部活のあとで待ち合わせてファーストフード店に行く。予め知世達が香りを用意して待機していることになった。
予定どおりの席に着き、二人は世間話を始めた。空調の風の流れに乗せて、香りを放つ。
「それで・・・っ!」
草薙は言いかけて、動きを止めた。黒鋼にも香りが漂ってきた。どこかで嗅いだような、安い香水にありがちなイヤな感じの香りだ。
「ううっ!」
草薙は呻きながら両肘ををテーブルに付き、頭を抱えた。黒鋼は固唾を呑んで草薙を見つめていた。
やがて草薙は顔を上げた。黒鋼を見留め、辺りを見回しながら言った。
「黒鋼・・?おまえ・・・?何で俺、こんな所に居るんだ?」
黒鋼達は歓声を上げた。

草薙は、黒鋼達から飛王の企み(推測だが)を聞くと、怒りに身体を震わせていた。
「まるでゲームか何かのように俺達を操っていたのか!」
「そうですわね。飛王にとってはゲームのような物でしょう。草薙君のお陰であの香りが役に立ちそうだと言うことが判って良かったですわ」
知世が言うと、草薙は口の端を上げ腕をぐるぐると回しながら言った。
「それで? 飛王を倒すんだろう? 具体的にどうするんだ?」


一同は再び情報科準備室の地下に集まっていた。
まずは侑子を捜さなければならない。ファイが捕らえられている部屋に3人が集まったところを見計らって侑子が飛王達の目の前に現れて動揺を誘うのだ。そしてファイ救出と飛王攻略を同時進行して飛王達を一網打尽にするというのが大まかな計画だ。とにかく侑子を探すのが何よりも先決だった。知世が言った。
「千歳先生、他に隠し部屋があるか分かりますか?」
千歳も同じ事を考えていたようだ。程なくして画面が幾つか現れた。
「隠し部屋は、私が知っているだけで3つあります。その内手紙を出せた事を考えると、理事長室の真上のここか、反対の端だと思います」
「理事長室の真上ってのは無いんじゃないか?足音は階下に響くし」
黒鋼は首を捻った。
「まぁ、裏をかくという意味では意外ではあるがな」
「そうですわね。でも侑子先生なら堂々と居そうですわ」
知世が言った。
「何か発信器の様な物が侑子先生に付いていればなぁ」
草薙の言葉を聞いて、天照が千歳に尋ねた。
「そう言えば、火事の対策に熱感知器をつける話はどうなっていますか?」
千歳はあっと声を上げ、ものすごい早さでパネルの操作を再開した。
暫くして画面上に赤い点が幾つも現れた。千歳は言った。
「この赤い点は35度以上のものを表示しています。それが移動すれば点も移動します。ここに点が集まっていますね? ここが私達がいる地下室です。正式な図面には載っていませんから部屋の名前は"?"になっています」
頷きながら知世が言った。
「では、他に"?"マークの部屋はどのくらいありますか?」
千歳がパネルを操作すると、いくつかの部屋がピックアップされた。先日見つけた隠し部屋にも、一つ、赤い点が表示されている。それを見て黒鋼は言った。
「やっぱりこの広い部屋に居るのはファイだな。見張りが居ないのは不自然だが、他にそれっぽい部屋もないし、決まりだろう」
「そうですわね。他の隠し部屋は誰もいないようですし」
天照も同意した。
「侑子はやはり理事長室の上辺りの部屋にいるようですね。そうすると、上手くすれば天井からファイが居ると思われる部屋に行けるかも知れません」
図面を見て、千歳が言った。
「あっ」
黒鋼が声を上げた。
「どうした?」
「おい、ファイの居る部屋に誰かが入ってきたぞ」
一斉に皆が注目すると、確かに新たな赤い点がもう一つの点に向かって移動している。そしてその点は、すぐ隣まで移動して止まった。
「見張りか? それにしては位置が変だよな。何もすぐ隣に来る必要はない・・・」
草薙が呟いた。
二つの点はそのままじっと動かない。暫くして後から来た方の点だけが移動し、部屋から消えた。
「不思議なのは」
知世が口を開いた。
「これがファイだとして、なぜ壁際にいないのでしょうか?もしも拘束されていないのならもっと動くはずです」
「確かにそうだな・・」
呟く黒鋼に、草薙は尋ねた。
「例えば手錠を掛けて長い縄か何かでどこかに結ばれていたとしたら、それは捉える側から見てメリットはあると思うか?」
答えられずにいる黒鋼に代わって天照が答えた。
「無いでしょうね。その縄を切られて逃げ出す可能性を考えて、柱や壁などに固定するのが定石です」
「じゃぁ一体どうなってるんだ? でもそこに侑子先生が居る隠し部屋から行けそうなんだよな?」
黒鋼が千歳に振ると、千歳は頷いた。図面を拡大し、今度は青で線を引く。
「この部屋のこの位置から天井裏に上がり、線に沿って進みます。おそらくこの辺りに出てくるでしょう。降りる時に敵に気付かれないようにしなければなりませんが」
「では、まず侑子先生の元へ参りましょう。千歳先生、図面をPDAか何かでお持ち下さいな」
知世が言うと、千歳は頷いてデータ転送を始めた。






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