小説 鷹の口づけ


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パラレル 」
黒ファイ地球防衛軍

14 隠し部屋と目的

2013.07.06  *Edit 

14 隠し部屋と目的

 「黒鋼、クソババアとはどういう意味です?」
「千歳先生、生体認証に登録させて下さったお陰で入室できましたわ。ありがとうございます」 
二人が同時に話し始めた。
黒鋼はプイと明後日の方を見ている。
千歳と知世は微笑んだがすぐに真面目な面持ちになった。
「千歳先生、飛王の目的は分かりましたか?」
知世が尋ねると、千歳は首を横に振った。
天照は黒鋼を叱る事は止め、話に加わった。
「やはり映像から推測して対策を立てるしかないでしょう。問題の映像を見せて下さい」
千歳は再生を始めた。
「止めて下さい、少し戻しててコマ送りに」
不意に知世が言った。画面ではちょうど星史郎が隠し扉のスイッチを押し扉が開き始めている。
「はい、止めて下さい」
もう一度映像が止まった。知世は言った。
「ここで扉の中が一瞬映っています」
「訓練に行く時に通る通路とは違うな」
黒鋼は呟いた。
通路はどこかの研究所のようではなく、どちらかと言うと病院の様な雰囲気だ。
「すぐ左に曲がったよな、星史郎のやつ」
「そうですね、あちらには確かに保健室が有りますし」
千歳が学園の平面図を画面上に表示し、確認した。天照は千歳に言った。
「千歳、正確な距離を測って下さい。そして図面上から隠し部屋を探しましょう」
コンピュータに二つの部屋と具体的な壁面を線を引く様に指定すると、一瞬で距離が表示された。
併せて平面図上に空白が示され、クエスチョンマークが現れた。
「なんだ?」
黒鋼が首を捻ると千歳が答えた。
「データなし、つまり此所が隠し部屋です」
「やった!ファイは此所に居るんだ!」
黒鋼は小躍りして喜んだ。知世が意地悪く呟く。
「あら、随分広い様ですから演習場かも知れませんわ」
黒鋼は知世を睨んだ。
「確かに広いですわね。しかし演習場だとするには狭いのでは?それに演習場は幾つも部屋がありましたし」
天照も言った。
「多分演習場はこの隠し部屋の地下にあるんじゃないか?」
ふと黒鋼は呟いた。
「もしそうなら全てが繋がる。演習場から怪我人を保健室に連れて行く時にやたら長い廊下だと思ったんだ。カイル先生が立っていた辺りから急勾配だった」
「まぁ黒鋼にしては鋭いですわね。確かにこの図面から考えると急勾配がありそうですわ」
知世が言うと黒鋼は
「黒鋼にしては、は余計だ」
と言って知世を睨んだ。
「こちらの端が廊下程度の距離を置いて保健室と隣接しているようです」
図面をチェックしていた千歳が顔を上げて言った。
「この部屋は確か薬品や消耗品をしまっている倉庫でですね。こっそり扉等を作るにはうってつけですわね」
天照が言うと、千歳が口を開いた。
「では、どのようにするかですが、まずは侑子からの手紙を分析しませんか? 彼女の事ですから何か隠してあることでしょう」
黒鋼と天照は手紙を取り出し机上においた。千歳が言った。
「では、まず紙を分析しましょう。香りとやらがまだかすかにあれば、複製することも出来るかも知れません」
千歳は手早く検体を作ると分析室へと持って行った。
「やはり、何が目的なのかが分からないとどうしようもありません。何か思い当たることはありませんか?」
天照が言った。
「生徒に催眠をかけてまで銃を持たせたい理由か。学園を乗っ取るだけなら銃なんて扱えなくてもいいよな?」
「つまり、生徒を兵に仕立て上げたい理由があるということですね」
「飛王先生はなぜ理事長になりたかったのか、という事に繋がりますわね」
知世も言った。
千歳が戻ってきた。
「飛王は校則をもっと厳しくするべきだといつも言っていました。でもこの堀鍔学園は自由な校風をモットーにしています。だから他のどの先生も、飛王先生の意見に反対し、説得し続けていたのです」
「それなのに、侑子理事長は学園を追い出された・・・」
黒鋼はそう言ってから、はっとして知世を見た。
「そう言えば、知世はなんで此所に居るんだ?それに千歳先生は催眠術にかからなかったのか?」
黒鋼が言うと知世は笑った。
「始めからあんな物にかかったりしてませんわ。ね、千歳先生」
「ふふ、1学期最初の7時間目の授業の時、私達はちょうどこの部屋に居たのです。流石に此所まではチャイムの音はしても、催眠効果は無かったようです」
「なるほど、地下室ですしね。催眠は不完全なものかも知れませんね。そこにつけいる隙があるかも知れません」
天照が言った。
「そうですね、放送が聞こえないと何かあった時に困りますから、全ての放送が入るようになっています。しかしこの部屋を知っているのは此処にいる私たち4人と侑子だけですから、地下にまで効果が現れるほど強い催眠にする必要はなかったのでしょうね」
千歳は頷いた。
ドンッ
黒鋼が壁に拳をぶつけ、二人を激しく睨みつけた。
「じゃ、今までなんで行動を起こさなかった?あんた達二人が何か行動していたら、ファイは誘拐されなかったかも知れない!」
黒鋼が大声を出したが、知世は涼しい顔だ。
「あら、一応調べてはいましたわ。ただ、理事長室の中まで入れなくて苦労していたのです。あの日、なぜファイが中に入れて貰えたのか、まるで来るのが分かっていたかのように迎えられていますから、その方が不思議ですわ」
黒鋼は言葉に詰まり俯いた。多分、自分がいけないのだ。催眠にかかっている振りをしてけが人を運んだ時、星史郎先生に疑われたに違いない。カイル先生もドジなように見えて、意外と気付いていたのだろう。
千歳はそんな黒鋼を見ていった。
「確かにファイは心配ですが、今は原因よりも対策を考えなければなりません。早く侑子に戻ってきて貰わないと私も困りますし」
「なにかありましたか?」
知世が尋ねると千歳は怒りに震えながら言った。。
「飛王先生は、情報技術科の研究費を半分にすると言ってきたのです。半分にされたらこの地下室の設備を売りでもしないととても間に合いません。そんなことになっては困ります」
黒鋼は千歳が怒っているのを初めて見たが、その理由が自分の研究のためとは思わず笑ってしまった。
「ですから、侑子には一刻も早く戻ってきて欲しいのです」
千歳が言った時、奥の部屋でビーという音が鳴った。
「あ、分析が終わったようです」
千歳は分析室へと向かった。
「相変わらずマイペースだこと」
天照が千歳の後ろ姿を見送りながら言った。
「では、纏めると、飛王の企みは『生徒を兵に仕立てて何か事件を起こす』でしょうか?そしてそれにはお金がかかるようですね」
知世が話を纏めた。
「そうだな。銃を仕入れるのにも金がかかるだろうし。さすがに国を乗っ取っとろうとか大それたことは考えてないと思うが」
黒鋼が言うと、天照が叫んだ。
「まさか!」
知世も頷いた。黒鋼は何が何だか分からずに二人を交互に見ていた。
「な、なんだよ二人とも」
「そうですわ、きっと飛王は軍事国家を作ろうとしているのですわ」
黒鋼は驚いた。
「まさか! いくら強力な催眠を掛けられたって、たかが学園を一つ乗っ取ったくらいでそんなこと出来るわけ無いだろう?」
天照は首を振った。
「黒鋼、この学園には何人の人々が関係しているか知っていますか?」
「え、幼稚部から大学院まで、教職員やその家族を入れて1万人・・」
「その1万人が全て飛王先生の言いなりでしたらどうでしょう?」
知世も言った。黒鋼は空恐ろしくなった。たしか数年前に細分化された国会議員超小選挙区選挙では、堀鍔学園一帯が一つの選挙区となり、非常に珍しいケースとして全国のニュースにもなっていたはずだ。
「一度議員に選ばれてしまえば後は誰にでも催眠を掛けられるように準備することは可能でしょう。全国の議員を通じて飛王の言うなりになるよう、更に催眠を広げることも出来るでしょうから」
「それに、飛王は1万人の人質を持っているのも同じです。しかも兵として仕える、若い人質です。国を嚇かすのも訳ないことでしょう」
そこに千歳が戻ってきた。
「香りの分析が出来ました。多分上手くいったと思います。そして状況を考えると、侑子はこの学園内にいると思います」
「ええっ!」
三人は同時に声を上げた。






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