小説 鷹の口づけ


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パラレル 」
黒ファイ地球防衛軍

10 頭痛

2013.03.14  *Edit 

10 頭痛

黒鋼は怒っていた。ファイと連絡が取れないのだ。携帯も電源を切られ、自宅の電話も誰も出ない。何かあったのかとファイと同じクラスの生徒に聞いても、また具合が悪いのだろうと大して気にしていない様子だった。
黒鋼はファイの自宅に行って見みた。やはり誰も居ない様だ。人が住んでいる気配はある。
まるで永いこと旅行で家を空けているかのようだ。
黒鋼がそう思った時、激しい頭痛に襲われた。何か忘れているような、思い出さなければならない大事な事を忘れているような気がして、黒鋼は思わず頭を掻き毟った。
「旅行、そう、旅行だ・・・誰かが行くって言ってた・・・誰だっけ・・・?」
必死に記憶の糸を手繰り寄せる。そう、あの性悪理事長だ・・・。
そこまで思い出したものの、黒鋼は再び激しい頭痛に襲われ、その場に蹲った。

「・・がね、黒鋼、こんなところで何をしているのです」
黒鋼が眼を開けると、天照が自分を見下ろしていた。
「?・・・!」
無様にも道端に寝転んでいたらしい。黒鋼は頭を振り立ち上がった。服の汚れをはたいて落とす。そんな黒鋼を呆れ顔で見ながら天照は黒鋼に尋ねた。
「どうしたというのです?体調が悪い様でもなさそうですし、何かあったのですか?」
「何でもねぇ」
黒鋼はそれだけ言うと歩き出した。天照は後ろから黒鋼の背中に向かって呼びかけた。
「ファイならここには居ませんわよ」
黒鋼は振り向くと天照の元へと走った。
「なんでお前が知ってる?」
凄む様に言ってもこの叔母には何の効果もない。彼女は黒鋼をからかう様に言った。
「何をかしら? そうそう、やっぱり貴方達付き合っていたのですね」
黒鋼は真っ赤になりながらも反論した。
「今言ってるのはそういう事じゃねぇ!お前アイツが、ファイが何処にいるのか知ってるんだな?」
あまりの剣幕にほんの少し驚いた天照だったが、いつものように口を開いた。
「勿論わたくしがファイの授業を受け持っているからです。今あの子は入院していますわ」
天照は堀鍔学園で国語を教えている。黒鋼は愕然とした。居なくなった、ほんの数日前まで一緒に帰っていたし、何よりデートしたのはつい先週の事ではないか。
そんな黒鋼を見て天照は気の毒そうに言った。
「あの子は相当悪い様です。夏休みが終わるまで持つかどうか、という容態だそうですから」
「そんなに悪いのか?!」
黒鋼は思わず大声で叫んだ。
「えぇ、面会謝絶だそうですわ。親御さんも病院にいると聞いています」
黒鋼は俯いた。そんなに具合が悪いのに、俺は全く気付いてやれなかった。
大きな後悔が黒鋼を襲った。

 その後黒鋼は頭痛に見舞われる事が多くなった。今までそんな事は全くなかったから、頭痛薬を飲むのも気が引けて、そのままにしていた。それに、頭痛がしている間に、何か大切な事を思い出せそうな気がしていたのも事実だった。
「草薙、今日は部活の後で時間あるか?」
「あぁ。珍しいな、恋の相談なら他を当たれよ」
「ぶわぁか、ちげーよ」
笑いながら言うと、草薙も笑った。
「そりゃそうだ、お前ら相思相愛だもんな。彼女が休みで寂しいとか言うなよ」
「言うかっ」
何でもない会話に、頭痛が癒されるような気がした。

 ファーストフード店に入った黒鋼と草薙は、主に学園生活の話、とりわけ部活の話をした。
先日草薙が怪我をしたという話を聞いた時、黒鋼は再び激しい頭痛に襲われた。
「ううっ」
思わず声を上げ、テーブルに突っ伏した。ジュースやトレイが落ちて、大きな音をたてた。
「黒鋼、おい、大丈夫か?おい、黒鋼!」
草薙が叫んだ。
「血だ・・・」
「えっ、怪我したのか?大丈夫か?」
「そう、血が付いていたんだ」
「・・・?」
草薙は怪訝な顔をしている。黒鋼は立ち上がった。
「・・・ファイ!」
黒鋼は全てを思い出した。







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