小説 鷹の口づけ


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パラレル 」
黒ファイ地球防衛軍

13.情報科準備室の秘密

2013.07.03  *Edit 

13.情報科準備室の秘密

情報技術の授業が終わった。この科目ではプログラミングや情報処理についてだけでなく、実際にコンピュータやその他のシステムを実習で作成し、自分で組んだプログラムを走らせる。将来コンピュータ技術者を目指す者は必ず学ぶ科目で、ここ数年急激に科学技術と情報化が進んだ結果、各学校に設置が義務化された教科だ。
「黒鋼君、この後残ってください」
情報技術科を担当している千歳先生に残る様に言われ、黒鋼はやっぱり、と思った。
今日は朝からファイと侑子の手紙のことで頭がいっぱいで、テスト返却の時間だというのに名前を呼ばれても返事さえないという有様だったのだ。
6時間目が終わったと言うこともあって、他の生徒達は波が引く様に教室から消えていく。黒鋼は今日は7時間目はないはずだ、とぼんやりとその波を眺めていた。
「黒鋼君、聞いていますか?」
千歳の厳しい声にはっと我に返った。
「すみません・・・」
千歳は溜息をつくと言った。
「ファイが居なくなったのがそんなに心配ですか?」
「はい・・・えっ?」
黒鋼は驚いて千歳を見つめた。
「居なくなった、ってなぜ知っているのですか?」
黒鋼の問いに、千歳は声を落とした。
「侑子から何か預かっていませんか」
「はい・・・てが・・・」
言いかけて、黒鋼は躊躇して口を噤んだ。千歳は何を何処まで知っているのだろう。もしかしたら飛王の側の人間かも知れないのだ。
「手紙が来たのですね?」
重ねて問われ、黒鋼は迷ったが、探りを入れることにした。
「ファイが居なくなったとどうして思うんですか?あいつは今入院中・・・」
「貴方が今『なぜ知っているのか』と言いました」
千歳は黒鋼の言葉を遮り、フッと笑うと続けた。
「私の部屋のモニターには映らない部屋はないのです。ファイが何処にいるのか、お見せすれば信じて貰えるでしょう。いらっしゃい」
黒鋼は驚いて千歳の後に続いた。


千歳が情報科準備室の前に立つと、自動でドアが開いた。続いて中に入ると、一見そこは何の変哲もない準備室だった。モニターとやらが有る気配はない。千歳は続き部屋のドアの開閉スイッチに触れると、黒鋼を招き入れた。
そこは宿直室のように見えた。しかし電気のスイッチのパネルを開きその陰から最新式のミニコンを取り出した千歳がそれを操作した時、只の部屋ではないことが分かった。
黒鋼が立っていたほんの2mほど先の床がグイーンと音を立てて開き、地下への階段が現れたのだ。黒鋼は驚いて声も出なかった。いくら科学技術が進歩し、この堀鍔学園はあらゆる最新設備が整っているとは言っても地下室とは。しかも隠し階段になっているのだ。千歳はその階段を下り、黒鋼も地階へと歩いていった。
そこは正しくモニター室だった。無数のモニターが壁や天井に並び、正面にはおそらく100インチはあるだろう大型モニターが幾つも備えられていた。
千歳はその大型モニターの前に座ると、パネルの操作を始めた。ピッピッと心地よい電子音が部屋に響く。千歳は言った。
「ファイが最後に学校に来たのは期末テストの始まる前日でしたね」
「あぁ。その日、一緒に帰る約束だったのにすっぽかされたんだ」
苦々しげに言った黒鋼は、はっとして謝った。
「あ、すみません、先生・・・」
「構いません、ただし、このことが解決するまでですよ」
千歳は微笑んだ。
「じゃぁ、遠慮無く・・もしかして、放課後ファイが何処にいたのか知っているのか?」
「ファイは此処にいました」
大きなモニターが分割され表示されていたうちの一つが大映しになる。
「! 理事長室だ!ファイっ!」
黒鋼は叫んだ。ファイの後ろ姿は小さいが、間違なくファイだ。しかし黒鋼は訝しげに首をひねって言った。
「この映像、おかしくないか? 音声も無いし、まるで隠し撮りの様な感じだ」
「よく気付きましたね。飛王は理事長に就任直後、理事長室内の明らかな防犯カメラを全て外させ、新たに設置させました。しかしこのカメラには気付かなかったようです。そしてこのカメラは二つの大事な場面を捉えていました」
千歳はそういうと、映像を切り替えた。やはり音声はない。星史郎がファイを抱えながら飛王と思われる誰かと話している。そして映像の中の星史郎は隠し扉を開けるとファイを抱えたまま中に消えた。
映像はそこまでだった。
「あの部屋は?早く映像を出してくれ!」
画面が終了してしまい、黒鋼は叫んだ。
しかし千歳は首を振った。
「あの部屋は飛王が後から作らせたようです。そこまでは私のカメラは有りません」
黒鋼はガックリとうなだれた。千歳は言った。
「でも、さっきの映像からスイッチの在処はわかりました。こういう訳で侑子から手紙が届いていないか聞いたのです。答えてくれますね?」
黒鋼は顔を上げた。
「なぜ俺にファイの事を訊いたんだ?俺に何をさせたい?」
先生は本当に味方なのか、黒鋼はまだ量りかねていた。
「天照から話は聞きました。貴方達交際しているそうですね」
黒鋼は恥ずかしさに真っ赤になって叫んでいた。
「な、なんでその話になるんだ、あのクソババア!」
「まぁ、クソババアとか言われてますわよ」
後から聞き慣れた声がして二人が振り向くと、そこには怒りに震えた天照とにこやかに微笑んだ知世がいた。






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