小説 鷹の口づけ


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パラレル 」
黒ファイ地球防衛軍

6.射撃訓練

2013.01.19  *Edit 

6.射撃訓練
廊下を歩く生徒の目に生気はない。虚ろな瞳とはこういうことを言うのだろう、と黒鋼は思った。
ファイは、寝ぼけているような表情を作って歩いている。黒鋼もそれに習って、後に続いた。
ついに、理事長室への潜入に成功した。

理事長室の壁であったはずの場所が、大きく開いていた。隠し扉になっていたのだ。
奥に入ると、まるでどこかの研究施設のような廊下が続いていた。廊下を曲がると、カイル先生が居て、一人一人に部屋の番号を指示していた。
「お前はA−2教室だ」「お前はB-7」
黒鋼とファイはそれぞれ指示された部屋に向かう。と、草薙が部屋に入っていくのが見えた。
「あいつも操られてるんだろうな」
黒鋼が呟いた。
「気をつけろよ、後で剣道場に来い」
「無茶しないでね」
二人はそっと囁き合い、それぞれの教室に入った。

黒鋼がドアを開けると、そこは戦場だった。マシンガンを打つ音が鳴り響いている。戦争さながらに銃を持ち、撃ち合う生徒達。黒鋼は草薙を見つけ、駆け寄った。
「お前、気は確かか?」
黒鋼が問うと、草薙は焦点の合わない眼で答えた。
「敵は全て殺せ。敵は全て殺せ」
正に催眠状態だ。呪文のように同じ言葉を繰り返している。
辺りを見渡すと、ミリタリー柄の服に既に着替えた生徒達が、銃の手入れをしたり、射撃練習をしたりしている。奇妙な事に、どの生徒も虚ろな眼をしていながら黙々と銃を調整し、訓練を続けている。やむを得ず黒鋼も着替えると、他の生徒に習って銃を手にとり、手入れをしている振りをした。
バーン!
授業が終りに近付いた頃、不意に大きな音がして黒鋼は飛び上がった。誰かが銃を暴発させたらしい。
見ると、1年生らしき生徒が血だらけの手を押さえて立っていた。しかし痛いとも何とも言わない。ただ流れ出る自分の血を虚ろな眼で見ていた。
事務員の女性が部屋に飛び込んで来た。黒鋼の境遇に同情してくれ、よく世間話などをしていた人だ。彼女は生徒達と同じ瞳で黒鋼に言った。
「君、桜塚医師のところに連れて行きなさい。いつもどうり処分しろと言うでしょうが」
処分という言葉に口を開きかけたが、ここでバレたら全て水の泡だ。黒鋼はグッと堪えると言った。
「・・・はい」

一方ファイもまた、生徒達が銃を持ち黙々と訓練を受ける様子に驚きショックを受け、思わず両手で顔を覆って座り込んだ。危うく気絶しそうになったが、なんとか踏みとどまる。
「春香!」
ファイは叫んだ。クラスメイトの春香は休みがちなファイの唯一の友人で、彼女はライフルを持って的を狙っていた。なんと的は人だった。やはりクラスメイト同士が撃ち合いをしているのだ。
「邪魔をするものは全て敵。敵は全て殺す」
呪文の様に呟いている春香から、ファイはライフルを取り上げるため駆け寄りたかった。しかし怪しまれないよう、我慢して銃の手入れをしている振りをし続けた。

近くの部屋からバーンという音がして、ファイは黒鋼を心配していた。怪我などしていないだろうか。
きっと7時間目が終われば皆元に戻る。そう信じて、訓練を受けている振りをした。
いつもより長く感じられた、50分だった。






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