「黒様、オレ達」
「黒鋼先生、おれ達」
「貴方が好きです!」
此処は黒鋼の部屋。二人は早速黒鋼に告白しに来たのだった。黒鋼は驚いて二人を交互に見ていたが、ニヤリと口の端を上げるとユウイに言った。
「なんだよ、おまえ喋っちまったのか?」
ファイは驚いた。
「じゃぁ黒様ずっとナイショにするつもりだったの?」
黒鋼はしれっとした様子で答えた。
「当たり前だろ。恋人に浮気しましたなんて言う馬鹿がいるかよ」
そりゃそうだ。ファイは黒鋼の口から事実を告げられたらと考え、口を噤んだ(つぐんだ)。ユウイはといえば、
「だ、だって・・・ファイに嘘なんかつけないもん・・・」
とまるで約束を守れず怒られた子供の様にシュンとしていた。黒鋼はそんな二人を見て言った。
「お前ら、本当にカワイイな」
二人は真っ赤になって黒鋼を見た。
「で、俺はどうすりゃいいんだ?」
黒鋼が二人に訊いた。双子は顔を見合わせた。そう言えば、告白する事は決めていたが、黒鋼にどうして貰いたいかは相談していなかった。フラれる前提でばかり話をしていて、三人が幸せになる方法なんて考えもしなかった。三人ともが納得出来る、何か一番いい方法を見つけられるだろうか。
「なんだよ、どうして欲しいか決めずに告白だけしに来たのか?」
黒鋼は呆れたとばかりにわざとらしく溜め息を吐いた。ファイが先に口を開いた。
「黒様、オレ達二人とも、黒様もユウイもファイも、選べないの。だって二人とも大好きなんだもん」
うんうんとユウイも頷く。黒鋼は眉を上げた。
「だから、黒様に相談しに来たっていうか・・」
恥ずかしそうにファイは俯いた。その様子を見た黒鋼は言った。
「なぁ、今決めなきゃなんねぇか?」
「えっ!?」
二人は驚いて黒鋼を見た。
「俺もお前らの事気に入ってるし、時間くれよ。その内いい案が浮かぶかもしれないしな」
黒鋼はそう言うと、ギュッと二人を抱き締め、交互に頬にキスをした。
「黒様・・・」
「黒鋼先生・・・」
二人は黒鋼の片腕をそれぞれ抱き締め返した。
黒鋼は、旨い事言いくるめられた双子を見送ると、ニヤリとほくそ笑んだ。これからは好きな時に好きな方と好きなだけ、ヤりたい放題出来るのだ。
こうして、三人で付き合い始めたのだったが、侑子先生や星史郎先生達に毎日のようにからかわれる事となったのは言うまでも無い。
END
『鷹の口づけ』に初掲載時のコメントです。↓
最後の黒鋼はなんかヤな奴かなー。でも確信犯で襲っちゃってるし、
少しだけダーティな黒様って事で。(^^;)
~ Comment ~