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小説 鷹の口づけ


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堀鍔学園」
堀鍔学園(短編)

自己紹介

2011.08.21  *Edit 

 「じゃぁ、ユウイ、あとでね~」
ファイは笑いながら職員会議室に向かった。今日は11月1日。ユウイが調理実習の講師として着任した日である。
ユウイは感慨深げに辺りを見回した。学校と言う場所に入るのはシェフ養成学校に通っていた時以来だが、
やはり高校とは勝手が違う。ファイとハイスクールに通っていた頃を思い出し、思わず微笑んだ。
 そろそろ呼ばれる時間だ。朝の打ち合わせでユウイを紹介すると侑子先生に言われ、小さめの応接室 (この学校には
応接室が幾つもある)で待機していたのだが。
 10分経ち、15分経っても一向に呼ばれる気配がなかった。朝の打ち合わせの冒頭で紹介すると言っていたのだが、
聞き違えたのだろうか。不安になり、ユウイはそっと応接室を抜け出し、廊下に出た。

「このたび調理実習の講師として来日したユウイでーす!化学を教えているファイ先生とは双子でーす、
みんなぁ、よろしくね!」
ユウイがそっと会議室のドアのガラスから中を覗こうとした時、ファイの声がした。
「え? ファイ?なにやってんの?」
思わず声を出してしまった。ドアからは何人かの先生の横顔が見えたが、学園内に知っている先生はほとんど居ない。
知った顔を見つけられず、誰にも呼びかけることも出来ずにユウイは固まっていた。

「おい、ふざけるのは止めろ」
不意に黒鋼の声がして、ユウイは我に返った。




「あいつは何処だ?」
黒鋼がファイを問い詰める。他の職員は事情を飲み込めずにざわつき始めた。ユウイはバタンとドアを開けて会議室に飛び込んだ。
「すみません、遅くなっちゃったみたいで!」
侑子はユウイを見て微笑み、言った。
「あら、来ちゃったの? あとでもう一度自己紹介して貰おうかと思ってたのよ」
「え?」
「ユウイー、ごめん、ちょっとドッキリをやろうとしたんだよー」
突然現れたユウイに職員のざわめきは更に大きくなり、収拾が付かなくなりそうだった。侑子先生が手をたたいた。
「静粛に! 今度は本当のユウイ先生から自己紹介して貰います」
黒鋼とファイは自分の席に着き、ユウイは自己紹介を始めた。
「何やってんだ、ふざけたこと考えやがって」
黒鋼が悪態をついた。
「だって、入れ替わっても判らないからさぁ」
ファイが応じた。
「第一話し方が全然違うだろ」
「黒様先生はユウイと話したからねー。ユウイっぽく話した方がよかったかな?」
ファイはいたずらっ子のようにクスリと笑った。
 ユウイは挨拶を終えてファイの隣に座った。
「もう、ファイったらイタズラ好きは変わってないんだからっ」
「へへー。ごめんねユウイ。侑子先生もイタズラ大好きだから、つい乗っちゃってー」
「理事長とおまえが組むとろくな事がないからな」
黒鋼が眉をひそめた。



「最後に何か連絡等はありますか?」
全体に、侑子先生が質問した。木之本先生が手を挙げた。
「えーと、あ、考古学と歴史を担当している木之本です。ユウイ先生、よろしくお願いします。それで、ファイ先生とユウイ先生ですが」
申し訳なさそうに頭をかく。
「私には区別が付かないんですが、何か一目でわかるような違いはあるんでしょうか?」
うんうんとあちこちで同意の声が上がる。侑子先生が二人を見て言った。
「ないわね。ある?」
「無いと思いまーす」
これはファイ。
「特に思い当たりません・・・」
これはユウイ。
「雰囲気が違うじゃねぇか」
これは黒鋼。侑子先生は黒鋼に言った。
「その雰囲気の違いとやらを説明して頂戴」
「あぁん? 雰囲気を言葉で説明できるかっ」
黒鋼は思わず立ち上がってそう言うと、ドカリと座り、目を閉じた。そんな黒鋼の様子を見て侑子は言った。
「困ったわね。では皆さん、雰囲気の違いを何とか感じ取ってください。黒鋼先生は役に立たないみたいだし」
ガタンッと音を立てて黒鋼が立ち上がった。
「なんだとー!」
「じゃぁ説明して」
「・・・」
「ほうら、出来ないんじゃない?じゃ、そう言うことで、打ち合わせを終わります」
侑子先生はそう言ってお開きにしてしまった。
「くそっ」
黒鋼は机を蹴り飛ばした。


 END




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