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小説 鷹の口づけ


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堀鍔学園中等部

堀鍔学園初恋物語 ~生徒会編~

2011.03.08  *Edit 


「黒鋼とファイ、放課後理事長室に二人で行くように」
帰りのHRで担任の草薙先生が二人に告げた。
「先生、俺は?」
空汰が草薙先生に尋ねた。
「いやお前はいい。侑子先生は二人に用があるそうだ」
草薙先生は空汰にそういうと、
「では、SHRを終わります」
と言って教室を出て行った。ファイと黒鋼はそっと互いに目をやり、お互いにそれに気付いて真っ赤になって眼を逸らした。
「なにやってんねん・・・」
その様子を見ていた空汰は馬鹿馬鹿しくて溜息をついた。

「二人でってゆうとったんやから、ほないきなはれ」
空汰に促され、黒鋼とファイは立ち上がった。
何となくどちらも出発できずにいると、しびれを切らした空汰が黒鋼に言った。
「とっとと行きぃ。なんやったらファイちゃんをお姫様抱っこしていてもええねんよ。」
「ばっ、馬鹿なこと言ってんじゃねー!」
突然黒鋼が大声を上げたので、まだ教室に残っていた生徒達は驚いて一斉に黒鋼に注目した。
「何でもへん、何でもへん。気にせんでみんな帰ってーな」
空汰が手を振ってみんなにそういうと、生徒達は怪訝な顔をしつつも家路についた。黒鋼は、ファイをちらりと見ると、足早に教室を出て理事長室に向かった。

黒鋼はずんずん歩いてゆく。放課後の喧噪の中で足早に歩いていく黒鋼に、ファイは付いていくのが精一杯だった。ファイが息を切らしてやっと理事長室に着くと、黒鋼はドアを開けずに待っていた。
「ふん」
ファイが到着したのを確認すると黒鋼は理事長室のドアをノックした。
トントン
「どうぞ」
「失礼します」
「失礼しま~す」
理事長室に入ると、数人の上級生らしき生徒達がいた。二人が部屋に入ると侑子は言った。
「貴方達には今度の生徒会選挙に立候補して貰うわ。生徒会長は現在副会長の桜塚星史郎君。副会長に現在議長の桜塚封真君と現在会計の神威君。議長は黒鋼君。書記はファイちゃん。会計は現在書記の昴ちゃんよ」
「相変わらず選択の余地無し、ですね」
星史郎が言った。
「あら、人選は間違っていないと思うけど?」
侑子がそう言うと、星史郎はそうですね、と微笑んだ。
「そういう話なら俺は降りる」
突然黒鋼はそう言い放つと理事長室を出て行こうとした。侑子はその背中に言った。
「あぁら、そんなことするなら、前店から被害届を出して貰うわよ?」
黒鋼は振り向いた。
「どういう意味だ?」
侑子はふっと笑うと言った。
「今年のGWの少し前頃から、前店の売り上げがガクッと落ちたんですって。どうも、前店で立ち番していた男子生徒がいたらしいのよねぇ」
チラリと黒鋼を見る。
「!」
黒鋼は真っ赤になっていた。
「くそっ」
小さく呟いて元の位置に戻る黒鋼に、ファイは首を傾げた。星史郎と封真がくすくすと笑い出す。
「じゃ、みんな異存ないわね?公示は明日だから、忘れずに立候補をすること。それから、選挙活動中からみんな仲良くするように。みんなが無事に当選したら、お祝いに高級リゾート地で合宿するから、頑張ってね」
「はーい」
「はい」
一斉に声が上がった。
「くそっ、なんで知ってやがるんだ」
黒鋼はぶつぶつ独り言を言いながら部活へと向かった。
そんな黒鋼を、ファイは頬を染めながら見送ったのだった。

「まぁ、生徒会!」
「声が大きいよ・・・」
翌日のお昼休み。嵐が思わず声を上げたのをファイは慌てて制した。
「どうして内緒にするの?」
嵐の問いにファイは一瞬考え込んだが、侑子のせいにすることにした。
「だって侑子先生が内緒にしとけって・・・」
「あらそんな事言ってないわよ?」
突然後から声がしてファイが恐る恐る振り返ると侑子先生が腕を組んで立っていた。微笑んでいるのが逆に恐ろしい。
「?」
嵐は首を傾げ、様子を見る事にしたようだ。
「むしろ大々的にアピールして欲しいんだけどなぁ?」
「どうしてですか?」
ファイの質問に侑子はファイの耳元に口を寄せた。
「黒鋼の事、好きなんでしょう?」
ボッ!
小さなコンロに火をつけたような音がしてクラスの全員が一斉にファイを見た。そして何か危険なことが起きた訳ではない事を確認すると、いつものざわめきに戻った。
「先生どうして知ってるんですか?」
ファイが小さな声で尋ねると、侑子は笑って言った。
「見てれば判るわよ。それよりもうお昼休みが終わるわよ。早めに立候補の手続きに行って済ませてね」
「はい・・・」
ファイは真っ赤になったまま返事した。
「じゃ、放課後に手続きしに行くのね?」
「うん・・・そのつもり・・・今更断れないし」
嵐の確認にファイはそう言うと小さな溜め息を吐いた。そんなファイに嵐は言った。
「でも黒鋼君と一緒で良かったじゃない?こんな機会でもないと告白は愚か話す事さえ出来ないんじゃない?」
「こ、告白って告白?そんなっ告白なんか出来る訳ないじゃない!!」
慌てて小さな声で激しく苦情を言うファイに嵐は微笑んで言った。
「勇気を持って強く願えば、必ず願いは叶うわ」
「え?」
その時、午後の始業を告げるチャイムが鳴った。


その2

驚いたことに、嵐と空太もそれぞれ会計と副議長に立候補を表明していた。そして立ち会い演説会やら何やらを訳が分からないうちにこなし、蓋を開けてみればめでたく全員当選となったのだった。
「どうしよう、受かっちゃったよ・・・」
変な事で悩んでいるファイに嵐は笑って言った。
「立候補したんだから当選を喜んだら?さぁ生徒会室に行くわよ」
生徒会室に向かったファイは、嵐と一緒に当選出来てよかったと心から思った。もしも自分一人だったらきっと立候補したにもかかわらず、辞退していたかもしれないと思った。

今日は顔合わせと夏休みに行われるリーダー研修会について話があった。
生徒会のリーダー研修会ではあるが一流ホテルに泊まる事になっていて、宿泊代などは学校持ちだ。要は合宿と言う話だったがこれだけ高級リゾート地で行われれば十分バカンスと呼べるだろう。
「合宿で少しでいいからお話出来たらいいな・・・」
ファイの囁きが聞こえた嵐はクスリとほほ笑むとファイに耳打ちした。
「合宿の最終日はキャンプファイヤーがあるんですって。仲良くなれるように祈ってるわ」
「えっ誰と?まさか・・・?」
「他に誰がいるの?」
呆れた嵐にファイは言った。
「だって・・・はずかしいもん・・・」
「きっと当日はそんな事言っていられないと思うわよ」
「?」
嵐の意味深な台詞の真意をファイが知ったのは集合場所からバスに乗ろうという時だった。
「じゃぁファイ、悪いけど私空太と約束しているから」
嵐は非情にもファイを放って空太の隣の座席に乗り込んだ。続いて星史郎と昴、封真と神威がそれぞれ隣に座った。
(そんなー。嵐ってばなんで内緒にしてたのー?)
瞳で訴えても嵐は気付かない振りをしている。
ファイは知らなかったのだが、隣同士に座った二年生は、以前から付き合っていることは学園中が知っているほど有名なカップルらしい。そして嵐と空太は入学してすぐに付き合い始めたらしかった。
引率の侑子先生と草薙先生を除いてまだバスに乗っていないのは黒鋼とファイだけだ。
「ファイ、先に乗りなさい」
侑子先生に言われ、ファイはバスに乗り込んだ。しかし二人掛けが四列しかない狭い車内に生徒の席は二人掛け一つしか空いてない。ファイは仕方なくたった一つの空席に窓に張り付くようにして座った。
すぐに黒鋼がやって来た。黒鋼はキョロキョロと辺りを見回したが他に生徒の席は補助席しかない。ファイのとなりが空いているのに補助席を出す訳にもいかず、黒鋼は何故か侑子先生をにらみ付けるとファイの隣りに座った。続いて侑子先生が一番奥の三人掛けの席にどどんっと座り早速酒瓶を取り出した。
(どうしよう、黒鋼君のとなりなんて緊張しすぎてしんじゃうよ)
ファイがそうっと黒鋼を盗み見ようとした時、黒鋼もファイを見た。互いに真っ赤になって眼を逸らす。
みかねた空太が嵐にこっそり言った。
「なぁ助け船出した方がええやろか?」
「いらないわ。だって同じクラスなのに挨拶もしないのよ。このくらいでちょうどいいんじゃないかしら」
「まぁまた立ち番されても適わんしなぁ」
「そう言う事」
「なぁ後ろから見てると面白いで」
ファイと黒鋼は嵐たちの前の席に座っている。
窓側に座ったファイはガラスに張り付くようにして端に座っていた。これは勿論黒鋼が中学生にしては身体が大きくて窮屈そうに座っていたせいもあるが、ファイは黒鋼に触れてしまったらと思うだけで心臓が口から飛び出しそうなほどに緊張していたからなのだった。
「おい」
黒鋼がファイに遠慮がちに声をかけた。しかしファイは気付かない。
「おい」
今度は少し大きな声だ。二人の様子を観察していた嵐と空太はファイに注目していた。
「おい」
もう一度黒鋼がファイをよんだ。
「えっ、オレ?な、何でしょうか?」
あわあわと慌てふためいてファイは黒鋼を見た。
「ぷぷー」
空太は思わず吹き出した。嵐が頬をつねる。
「いてぇっ!」
空太の声にファイと黒鋼が振り向いた。空太は慌てて何でもないと手を振った。
「ふん」
黒鋼は改めてやっとこちらを向いたファイに言った。
「おい、そんなに窓に張り付いてないでもう少しこっちに来いよ」
ファイは正に口から心臓が飛び出しそうだった。
「はい、あの、大丈夫ですからっ」
もう何を言ってるのか自分でも分からなくなっていた。そんなファイに黒鋼は更に言った。
「俺がでかいから狭いだろ?悪いな」
「あ、あ、オレは小さいから大丈夫です、端っこは慣れてますからっオレ、窓好きだし」
「?」
怪訝そうにした黒鋼はそれ以上何も言わなかった。というよりも言えなかったのだが。
(やっぱり嫌われてんのかな・・・)
そう思った黒鋼は、ファイと話すのを諦めたのだった。


結局黒鋼とファイの二人の間にそれ以上の会話はなかった。ファイはひたすら窓に張り付き、黒鋼はフロントガラスを激しく睨み付けていた。
バスを降りるとファイは真っ直ぐに侑子のところに行った。
「先生、帰りは先生の隣りの席にしてもらえませんか」
侑子はとんでもないとばかりに首を振った。
「だめよ。このリーダー研修会は生徒会役員としてリーダーの資質を育てるだけでなく、生徒会全員の親睦を深める事が主な目的なの。隣の席の人とお話もできないなんて、困ります」
「でも、あの、せめて嵐さんと隣りにしてください」
侑子はクスリと笑うとファイに言った。
「だめよ。理由は今言ったとおり。生徒会役員全員と仲良くするように!」
「ううっ」
ファイは諦めるしかなかった。


合宿の間、ファイは黒鋼と共に過ごすことが多かった。他のメンバーはカップルなのだからそれは必然だった。
起床して朝のミーティングの時は嵐と空太は隣に座っていたし、それは他のカップルも例外では無かった。当然食事の時も隣に座る。
昼間は講義を聞いたり秋の文化祭を始めとする生徒会行事に向けての話し合いなどで時間が経ち、たいてい夕飯が終わるといつの間にか二人きりになっているのだった。
しかし結局毎日お互いに何も話せずそれぞれの部屋に戻る。一緒にいることが多くても話らしい話をすることもできないまま、明日の最終日を迎えようとしていた。



その3
「ほら黒鋼、さっさと運んで頂戴!」
ホテルの庭に侑子の声が飛ぶ。黒鋼はキャンプファイヤー用の薪運びをさせられていたのだ。
「なんでわざわざ八角形にするんだよっ!井桁でいいじゃねぇか、人数居ないんだから!」
「ダメよ。やっぱりこう言うのは形から入らないと。それに何だって小さいより多きい方がいいに決まってるわ」
同じやりとりの繰り返しにファイはクスリと笑ったが、自分が切っているカルビが大分小さくなっていることには気付いていなかった。
<バーベキューの材料>
人参 玉葱 肉 ソーセージ 芋 ピーマン きのこ類 かぼちゃ トウモロコシ  茄子 キャベツ海の幸(ホタテ) エビ イカ もやし
焼きおにぎり、焼きそば 焼きうどん
焼きマシュマロ 焼きりんご 焼きバナナ ホットケーキ
キノコのバターソテー

「ファイ、お肉をそんなに小さく切ったら串に刺せないわよ?」
嵐の呼びかけに小さくあっと声を上げたファイは、慌ててカボチャを切り始めた。
材料を切り終わり串焼きとホイル焼きにする。塩胡椒とバターの量を気にしながら包み始めた。
「おい」
「きゃぁっ!」
突然隣に黒鋼がいてファイは飛び上がって驚いた。黒鋼が不機嫌そうな表情で言った。
「俺が話しかける度にそんなに嫌がるなよ・・・」
ファイは驚いた。ただ話しかけられるとは思っていないからとても驚いただけなのに、嫌がっていると思われていたとは。
ファイは悲しくなって俯いた。眼の端が潤んで来て、鼻がつんとした。
このままでは泣いてしまう。もう側にいられなかった。
ファイは突然走り出した。
「おいっ、待てよ!」
黒鋼の呼び掛けも聞こえない様子だ。
黒鋼の大きな声に皆が驚いて注目した。
「黒鋼、可愛い子を泣かすものじゃないですよ」
星史郎が呆れた様にそう言うと、空太も
「そうやそうや。ファイちゃん可哀相になぁ」
とわざとらしく大きな溜め息を付いた。
「なんだよ、俺は話しかけただけだ!」
「そうは言ってもなぁ。黒鋼の人相の悪さはピカイチやし、顔だけで泣かしたんちゃう?」
「余計なお世話だ!」
ファイを探しに行こうとした黒鋼だったが、不貞腐れて椅子にどっかりと音を立てて座った。そこに昴が声を掛けた。
「黒鋼君、そこは侑子先生の席だよ」
「・・・」
もう何も言う事はない。黒鋼は立ち上がるとファイを探しに歩き出した。


ファイは涙を堪えながら自分の部屋へ向かって歩いていた。
部屋の前まで来てオートロックだと言う事を思い出した。鍵を持って部屋を出たが、バーベキュー会場に貴重品も何もかも置いて来てしまっていた。
「どうしよう・・・」
ポロポロと涙が零れた。今更会場に戻れない。宿泊客だと言う事は分かるだろうから、ロビーにでも居させてもらおう、そう決めて歩き出した時、エレベーターから黒鋼が降りて来た。
お互いに驚いてほんの一瞬見つめ合った。先に口を開いたのは黒鋼だった。
「大丈夫か?さっきは驚かせて悪かったな」
気を使っているのか小さな声で話す黒鋼は何だかおかしかった。何と答えたものかとファイが考えていると、黒鋼は頭を掻きながら言った。
「俺の顔、そんなに怖いか?」
「ぷぷっ」
思わずファイは吹き出した。そして小さく深呼吸すると顔を上げた。
「こっちこそいきなり走り出してごめんなさい」
ペコリと頭を下げると黒鋼は慌てた様に言った。
「さっき、手伝おうとしたんだ」
「え?」
黒鋼はえーっと、とか何とかよく聞き取れない小さな声でぶつぶつ言っていたが、少しだけ耳を赤くして言った。
「ほら、肉とか、切って終わったみたいだったから・・・。串に刺すんだったんだろう?」
「う、うん・・・。ありがとう」
ファイがにっこり笑って言うと、黒鋼は慌てた。
「い、いや、結局手伝ってねぇし。泣かせただけだし・・・本当に悪かったな」
明後日の方向を見ながら話す黒鋼に、ファイは首をひねった。
「? そんな、もういいよ。手伝ってくれようとしたんでしょ?ありがとう」
「あ、あぁ・・・」
ファイの眩しい笑顔に黒鋼は思わず眼を逸らした。ファイは言った。
「涙、どっかいっちゃった。それに、来てくれてありがとう。黒鋼君、優しいんだね」
黒鋼はどうしたらいいか分からなくなって後ろを向くと頭をガシガシと掻き、言った。
「じ、じゃぁ、戻るか?」
「うん」
二人は同時にエレベーターのボタンを押そうとして、手を引っ込めた。
「ご、ごめん・・・」
ファイが真っ赤になって思わず謝った時、ちょうどエレベーターが到着した。
チーン
ドアが開くと、そこにいたのはなんと空汰だった。
「あ、ファイちゃーん、黒鋼にケッタイなコトさられへんかった?わい、心配で思わず来てもうたよ」
「ケッタイ?」
黒鋼は慌てて空汰の首を絞めた。
「わぁ、何すんねん、黒鋼っ」
「?」
ファイは二人の代わりに1階のボタンを押したのだった。


「ファイ、大丈夫?突然走り出すから吃驚したわよ」
嵐が心配そうにやってきた。
「うん。ゴメンネ、心配かけて」
「大丈夫ならいいけど・・・ファイ、貴方にやにやして気持ち悪いわよ」
「えっ?」
狼狽えるファイに、嵐は言った。
「何があったのかなー?」
「ええっと、あのね、」
ファイは声を落とすと嵐に囁いた。
「あのね、黒たんとお話しできたの・・・」
「よかったわねぇ。あらじゃぁ、空汰が邪魔したんじゃない?」
「邪魔って?」
ガクッ。
嵐は脱力したがまぁいいわ、と呟いてファイに向き直った。
「じゃぁ、もう焼き始めましょう。串焼きは刺して終わったから焼くだけよ」
「うん」
二人は網の上に食材を並べ始めた。
と、大笑いする声がして、空汰と黒鋼がやってきた。二人は侑子先生に呼び止められ、わぁわぁと騒いでいたが、怒ったように森の方へと向かって歩き出した。
「?どうしたのかな。森に行っちゃったよ」
「さぁ? 多分侑子先生のことだからもう一つキャンプファイヤーとか言うんじゃない?」
「ええっ、もうこれでいいよね?」
二人でひそひそ話してると、噂の主、侑子先生がやってきた。
「ファイ、次は手を繋ぐのよ?」
「えっ?」
侑子先生はフフっと笑うと自分の席に戻ってしまった。
「はぁ、さすがに侑子先生はみんなお見通しなのねぇ」
嵐の言葉にファイは
「それは侑子先生だから、でいいんだけど、手を繋ぐなんて・・・」
困ったように眉根を寄せた。すると嵐は
「そうね、後でゲームでもやりましょうか」
というと、星史郎の所へと行った。



その4
やがて黒鋼と空汰が戻ってきた。
二人はなんと、大きな筒を抱えていた。
「これ、なぁに?」
ファイが訊くと黒鋼は、
「打ち上げ花火だとよ」
と言って、セッティングを始めた。
森の入口にはホテルの物置があって、外で使う色々な道具が入っているのだそうだ。バーベキューの道具もそこにあったらしい。
「せんせー、これでええやろか?」
空汰が侑子に尋ねた。
「うん、なかなかいいんじゃなーい?やっぱり夏の夜は花火よねぇ」
と言ってビールをグイっとあおった。
「で、でもぉ・・・」
ファイは顔面蒼白だった。
こんな至近距離で花火なんて打ち上げられたら、耳がおかしくなってしまうだろう。それに・・・。
「侑子先生、誰か花火師の資格を持ってるんですか?」
星史郎が尋ねた。
「さぁ?」
再びビールをグイっと飲み干した侑子は、草薙先生に言った。
「草薙先生なら持ってるでしょう?」
「え?私は持ってませんよ」
侑子はわざとらしく首をひねった。
「えー。おかしいなぁ。履歴書に書いてあったわよぉ」
「いや、持ってませんから」
真面目に応対する草薙先生に、皆溜息を吐いた。絶対確信犯である。
やがていい匂いがして、バーベキューが出来上がったようだ。
「まぁいいわ。始めましょうっ!
夏の夜は花火で乾杯!美味しいビールにどっきどき!
一度で二度美味しい花火大会を始めまーす!」
「意味わかんねぇぞ」
黒鋼のツッコミを無視して侑子はコップとビールをみんなに配るよう指示し、やがてファイにもビールが渡された。
「じゃぁ、かんぱーい!」
侑子先生の声が響き、バーベキュー大会が始まった。
「ええっ、お酒しかないの?」
しかし狼狽えているのはファイだけで、他の面々はビールサーバーからどんどんコップに注いでいる。草薙先生を見ると、早くも一杯飲み干して酔っぱらっている。これではダメだ。
キャンプファイヤーの周りには少しずつ離れて丸太を組んで作ったテーブルと椅子があった。
一つ目のテーブルには星史郎、昴、封真、神威が、二つ目のテーブルには二人の先生と空汰、嵐が座っていた。そして。
3つ目のテーブルには黒鋼とファイだけが座っていたのだった。
「なんでこうなるんだ・・・」
黒鋼はビールを飲みながら思わず呟いた。絶対、侑子先生が仕組んだに決まっている。そうでなければ空汰辺りか。
黒鋼はバーベキューを食べることもせず、ただビールを飲み続けていた。

ファイはビールなんて飲んだことがなかった。しかも、炭酸飲料は苦手である。全く飲めないわけではないが、すぐお腹いっぱいになって何も食べれなくなるのだった。
暫くの間ファイは飲み物なしでバーベキューを食べていた。ホイル焼きはジューシーなつゆが出ていたし、串焼きも焼きたてのうちに食べてしまえば何とかなった。
ただ問題は。
「どうしてこうなるのー?」
小さな声で呟いた。黒鋼の前では食事も喉を通らないと思っていたのだが、むしろ沈黙の理由のために食べ続けていた。
食いしん坊だと思われないだろうか。先刻はなんとか話すことが出来たが、改めて二人で座っていると何を話したらいいか分からない。侑子先生の隣に座れば良かった。チラリと他の二つのテーブルに目をやるとわいわいと盛り上がっているのが見え、ファイは内心あーあと溜め息を吐いた。
黒鋼もまた、何を話したら良いか分からずひたすらビールを飲み続けていた。何かつまみが欲しかったが、ファイを一人にするのが気が引けて、席を立てずにいたのだった。
そしてその様子を嵐と空太は心配そうに見つめていた。空太は言った。
「わし、アイツの所に何ぞ持って行くよ。あそこだけ葬式みたいで嫌やから」
そして立ち上がると侑子先生が
「えー、黒鋼だけなんてズルイ~。あたしにもビールとおつまみ持って来てよぉ」
「まだ飲むんすか!黒鋼と二人で飲み尽くす勢いですよ!」
それを聞いた侑子はポンッと手を打った。
「決まり!皆で飲み比べよぉ!もちろんビリの人には優勝者の言う事を聞いて貰います!」
「えぇっ!」
良く通る侑子の声に生徒会の面々は一斉に振り向いた。
「負けませんよ~」
星史郎を始めとする4人はやる気満々で準備を始めた。
「まずは今まで飲んだ杯数を調べてハンディをつけましょう。昴、記録を見せて」
「はい」
「記録してたのかよっ!」
黒鋼が突っ込むと昴は真面目に答えた。
「うん、侑子先生に頼まれていたからね」
そして侑子は記録を見ながらふむふむと呟いていたが、ついに皆に向き直った。
「じゃハンディ10杯がファイ、5杯が昴と嵐、3杯があたし、1杯が神威と空太、ゼロが星史郎と黒鋼ね!」
「ちょっと待て!」
黒鋼は大声を出した。
「なぁに、今更まけて貰おうったって遅いわよ?」
「まさか飲むってビールか?」
「ほかに何があるの?」
侑子はさも心外だと言わん許りに首を振った。
「それになんだよ、理事長もハンディいらないだろ?」
「あらぁ、黒鋼は勝つ自信ないのね?」
「誰もそんな事言ってねぇだろ!」
「じゃ問題ないわね?草薙先生~準備いいかしら?」
「オッケーです~」
草薙先生が片手をあげて応じた。
「なにー!なんで教師二人でやる気満々なんだ!」
「だって面白いじゃない?さぁ行くわよ?!堀鍔学園ビール早飲み競争30分で何杯飲めるか人間の限界に挑む!負けた人にはお仕置よ!?絶対に負けられない戦いに負けるのは誰だ?!を始めまーす!!」
パチパチパチ
パラパラと拍手が起きた。侑子は自分のジョッキを持ち上げると叫んだ。
「よーい! スタート!」


その5
ビールの早飲み競争が始まった。ハンディが少ない者は次から次へとジョッキを空け、多い者は談笑しながらのんびりと飲んで居た。
そしてファイは飲めないビールを握り締め、ただ立ち尽くして居た。


ドーン!!
不意に轟音が轟いた。草薙先生が終了の合図に空砲を撃ったのだ。
「キャー!」
ファイは思わずジョッキを放り出し座り込んだ。
「はーい、終了よぉ。みんなここに集まって。早速発表するわよ!」
侑子の声が響き、結果発表が始まった。
「ハンディ込みで発表するわね。まず第三位! なんと15杯の嵐!」
パチパチ・・・
「続いて第二位!18杯で星史郎!さすが生徒会長!やるわね!」
星史郎はフッと笑った。
「そして!注目のビリを先に発表するわよ!」
ドルドル・・・・
どこからかドラムロールの音が聞こえて来た。
「発表します。なんと二人いるわよっ!それは!」
一層ドラムロールの音が大きくなった。
「なんとそれは!10杯しか飲めなかった黒鋼よぉ!」
「うそつけっ!それになんでそんなに嬉しそうなんだ!?」
「あはははっ」
侑子は愉快そうに大声で笑った。
「さぁ注目のもう一人のビリは、ファイよぉ!」
「あー、やっぱりね・・・」
みんなファイが先刻からビールを全く飲んで居ない事を知っていたから納得だった。侑子は言った。
「二人ビリが居るのは困ったわね~」
全く困ってないという様子で悩んでいる侑子に星史郎は言った。
「侑子先生、まだ一位が誰か発表してませんよ」
「あっ、忘れてた、一位は!もっちろん!あたしの20杯よぉっ!」
一同、やっぱり・・・という表情だ。星史郎は言った。
「侑子先生、どうせなら全員の順位を発表しては?」
「そうね、四位は神威、五位タイが昴、封真、そして空太よ」
それを聞いて黒鋼は空太に詰め寄った。
「お前、何杯だ?」
「わいは11杯や」
「くそっ!」
黒鋼は空太を睨むと侑子の所に行った。
「それで?何すりゃいいんだ?」
「そうねぇ・・・」
侑子は顎に指を当て考えていた。
「そうね、二人ビリがいるんだし、二人で何かやってもらってもいいわね。でもあたしが一位になったのになー」
「早く決めろ」
ボソリと黒鋼が呟いた言葉を聞き咎めた侑子はユラリ、と黒鋼を見た。
「なあに、黒鋼?決めろ、ですって?」
侑子の迫力に黒鋼はタジタジだ。
「決めたわ。黒鋼には一か月間あたしの下僕になって貰います」
「なんだと・・・」
侑子は黒鋼が言い終わらないうちに少し大きな声で宣言した。
「さらに追加でファイとポッキーゲームよぉ!!」
「えぇっ!」
「えぇっ!」
二人が叫んだのと対照的に、他のメンバー達からは歓声が起きた。


「侑子先生、ポッキーの用意ができました」
「じゃあ早速始めましょ。黒鋼が負けたら下僕生活を2ヶ月に延長、ファイが負けたら、」
侑子は言葉を切ってほんの少し考え込んだ。そして言った。
「そうね、思いつかないからやっぱりあたしの下僕でいいわね!」
「なんで下僕ばっかなんだよっ」
黒鋼のツッコミを侑子は無視した。
「あら二人は随分背が違うわね。ファイ、あなた椅子に登って。黒鋼はそう、すぐ前に。黒鋼が先に咥えて」
侑子の指示の元、二人は向き合って立たされた。
「二人とも両手を出して、手と手を握って落ちないようにね」
黒鋼は手に持ったポッキーを咥えた。ファイが椅子に登ると黒鋼の方がほんの少しだけ低くなった。
「ほら、早く早くぅ!」
侑子先生がやんやと嗾け、ファイは真っ赤になった。
そっとファイが手を差し出すと、黒鋼は一瞬躊躇したが、そっとファイの手に触れた。
落ちないように手を繋ぐと言うより、手を添えているという方が正しいかもしれない。
ファイは黒鋼の大きな手が触れていると思うだけで緊張し、ポッキーに顔を近づけたものの、なかなか上手くいかずにポッキーを落としてしまった。黒鋼がもう一本受け取り顎を上向けるようにして差し出すと、ファイも首を延ばした。
ドキドキ・・・ドキドキ
二人の鼓動は相手に聞こえんばかりに大きな音を立てていた。
ポッキーにファイの唇が触れた、その時。
「きゃぁー!」
ガッターン!
バランスを崩したファイは椅子から落ちてしまったのだった。
そして落ちてきたファイを黒鋼は反射的に受け止めていた。
「大丈夫か?!」
「う、うん・・・だい・・・」
ファイが大丈夫だと言おうとした瞬間、
「黒鋼カッコいい~!ヒューヒュー!!」
という侑子の声が割って入った。
「!! つうか、野次ってる間に助けろっ!」
黒鋼は真っ赤な顔で叫んだ。ファイはその声であわてて
「ご、ごめんなさい、重かったでしょ?」
と言いながら黒鋼の上から退いた。
「いや、お前、軽いな」
かぁぁっ
真っ赤になったファイはまたも走り出そうとしたが、今度は侑子に腕を掴まれた。
「逃げちゃダメよ」
そして侑子は今度は二人を隣合わせに座らせ、腰に手を当てると言った。
「やっぱり上からじゃ無理かー」
「当たり前だっ」
黒鋼が怒鳴った。
今度はファイが先にポッキーを咥える。
ドルドルドル・・・
「なんでドラムロールなんだよっ!」
黒鋼が叫ぶと空汰が言った。
「この方が盛り上がるさかいな」
「おまえが犯人かっ!」
「あはははっ」
みんなが大きな声で笑った。侑子は言った。
「ほら、ファイの手を繋いで」
真っ赤になりながらお互いに手を差しだし、今度は空汰がファイの腰に黒鋼の手を回そうとしたが力負けし、結局手と手を握りあう事となった。
ドキドキドキドキドキドキ・・・
ドルドルドルドルドル・・・
真っ赤な顔をした二人の顔が近づく。ファイが既に目を瞑っていたから、黒鋼が顔を少し動かして、ファイの口元にポッキーを合わせた。侑子が号令を掛けた。
「愛のポッキーゲーム、スタート!」



その6
侑子が楽しそうに号令を掛けた。
「愛のポッキーゲーム、スタート!」
ポリポリッ
二人がゆっくりと食べ進む。ファイはチョコのかかっている端から少しずつ食べ進んでいたが、途中で折れるのではないかとハラハラしながら食べていた。ハラハラとドキドキでポッキーの味など分かるはずもない。
黒鋼は微かにかかるファイの吐息にくらくらしながら、一息に食べてしまわないよう遠慮しながら食べていた。
ファイが様子を窺おうとそっと瞳を開けた時、正に鼻と鼻がぶつかろうかというすぐ目の前に黒鋼の顔があった。ファイは思わず
「きゃっ」
と叫んでポッキーから唇を離してしまった。
ひょい、と黒鋼がほんの3cmほどのポッキーを受けとめた。
「は~いっファイの負けね!」
侑子が勝敗を告げた。二人は真っ赤になって互いに背を向けていた。早速空太が黒鋼に耳打ちした。
「なあ、キスしたんか?」
「な、ばっ、バカ言ってんじゃねぇっ!(き、キスなんてするわけねぇだろっ!)」
後半は小さな声で、しかし勢いよく言う黒鋼に、空太はニヤニヤしながら更に言った。
「なんやせぇへんかったんか。ついでにしちゃぇばよかったんに」
「嫌われてるのにンなことできるかっ」
空太が呆れたように言った。
「本気でそう思うてるんか?」
「えっ?どういう・・・」
黒鋼が空太に問い質そうとした時、侑子が両手を打ち鳴らした。
「じゃあファイと黒鋼は今日から一か月間あたしの下僕って事でヨロシク!」
「はあい・・・」
侑子は続けて言った。
「じゃあ早速で悪いんだけど、ファイ、肩を揉んでくれない?」
「は、はい」
下僕と言われどんな事をさせられるのかとドキドキしていたファイだったが、ホッとして侑子の肩を揉み始めた。
「あー気持ちいいわぁ。あ、黒鋼は草薙先生と花火の準備をしてね」
「おう」
黒鋼は草薙先生のところに行ったが、草薙先生は既に酔っ払ってテーブルに突っ伏したまま眠っていた。揺すっても何をしても起きる気配すらないほど泥酔している。
「ちぇ」
黒鋼は愚痴りながら打ち上げ花火の砲台の所へ行くといつの間にかファイが待っていた。
「どうかしたか?」
ファイは恥ずかしそうにしながら答えた。
「侑子先生が手伝ってこいって・・・」
「そうか」
二人で真っ赤になりながらぎこちなく準備を始めた。
取扱説明書によると、準備と言っても筒の中に花火玉を入れ、導線に火を点ければ良いらしい。
「こんなに簡単で良いのかなぁ?」
ファイが言うと黒鋼は言った。
「まぁこう書いてあるし、導線も長いから大丈夫じゃねえか?」
と楽観的だ。ファイは何とかして阻止しようとしたが余りにも簡単に準備が出来てしまい、野望は失敗に終わり困ってしまった。
そしてファイはみんなに手持ち花火を配って歩いた。黒鋼は種火の準備。それが終わるといよいよ花火大会の始まりだ。
全員で一斉に線香花火で競争をし、吹き出し花火を持ったまま子供のように走り回る空汰を見ながら、みんな大笑いした。
そしていよいよクライマックスの打ち上げ花火だ。黒鋼とファイは定位置についた。
「いくぞ?」
「う・・・ん・・」
「?」
いつもより更に大人しいファイに黒鋼は首をひねったが、時間となり導線に火を付けた。
ドーン
「きゃぁぁっ!」
ファイは思わず耳を押さえ座り込んだ。声に驚いた黒鋼がファイを見たが、ファイはがたがた震えている。黒鋼はどうしたものかと暫くの間思案していたが、二つ目の花火の時間となり、やむを得ず予定どおりセットするとまた火を付けた。
ドーン
「きゃぁぁっ」
「おい」
ファイは気付かない。黒鋼はもう一度呼び掛けた。
「おい、捉まってろ」
「えっ?」
ファイはやっと顔を上げ、黒鋼を見た。黒鋼は砲台に花火玉をセットしながらもう一度言った。
「まだまだあるから、怖いなら捉まってろ」
「は・・い」
驚いてほんの少しの間黒鋼を見つめていた。彼の頬が赤いような気がするのは気のせいだろうか。いや、気のせいに決まっている。きっとキャンプファイヤーの炎が映っているのだろう。
見つめられている事に気付いた黒鋼はぶっきらぼうに言った。
「別にイヤなら良いけど。もし嫌じゃなければ・・・掴まってろ」
ファイは嬉しいのと驚いたので暫くの間固まっていた。
ドーン!
「きゃぁっ!」
思わずガシッと黒鋼の腕にしがみついた。黒鋼が硬直する。
「○×△§∈∴☆∀・・・!だ・だ・だ大丈夫か?」
黒鋼は辛うじて声が出たもののうまく喋れず吃っていた。
暫く黒鋼が硬直していたのでじきに花火の余韻も消え静かになった。ファイはハッとして黒鋼を見上げた。黒鋼はじっと手元の花火玉を見つめていた。
「ごっゴメンっ!」
慌ててパッと放したが黒鋼は言った。
「また・・・大きな音がするから・・・」
「えっ?」
「恐いんだろ?掴まってろ」
そっぽを向いたままでのぶっきらぼうな物言いも、
(カッコいい・・・)
ファイはぽうっと黒鋼に魅入っていたが、黒鋼が導線に火を点けたのに気付くと、数瞬の逡巡の後そっと腕に掴まった。ピクリと黒鋼が反応したのが分かった。しかしそれだけで嫌がる風でもないので、お言葉に甘えて腕に掴まることにした。
(黒たん、オレの事キライじゃないんだ・・・)
ファイはホッとしたような、恥ずかしいような気持ちで黒鋼を見つめていた。
ドーン!
反射的に黒鋼に掴まっている右腕に力が入る。思わず同時に目も瞑ってしまった。
「綺麗だな」
黒鋼の声に瞑っていた目をそっと開けた。花が散るように花火の残り火が空から降ってくる。きらきらと光る紙吹雪のように、たくさんの花火が降ってきた。
ドーン!
続けて花火が上がった。バチバチと音を立てて空中で光り輝いている。
「わぁ・・・」
「綺麗だな」
「うん・・・」
ファイは掴まっていた腕から手を離すと、黒鋼の手をそっと握った。
黒鋼も、その手を握り返した。




END





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