小説 鷹の口づけ


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本誌沿い

鬼怒川温泉にて

2016.08.31  *Edit 

黒鋼の女湯侵入事件が解決したその夜。
ファイは、布団を敷きながら事件のことを蒸し返していた。

「黒ぴっぴ、本当に酷いよね〜」
「あぁ?」
眉間に皺を刻みながら黒鋼がファイを振り返る。
「だってさー、オレというものがありながら、女湯に侵入するなんて〜」
「侵入言うな!」
怒鳴られてもファイは全く意に介さない。
「侵入は侵入ですー。で、好みの女の子、いた?」
「知るかっ」
「ふーん、いたんだー」
「なんでそうなる?!」
全くかみ合わない会話に黒鋼は苛立った。自分から見れば不可抗力な出来事だ。女将の言うとおり、自分が話を聞いていなかったのだとしても。
「やっぱりおぱいは大きい方が好きなの?魔女さんみたいな?」
ファイはまだ突っかかるように問いかける。黒鋼の中では、お湯を掛けられ女将に絞られ、既に罰は受けたのだから終わったことだ。それなのに魔女まで持ち出され、黒鋼の苛立ちは膨れあがっていた。
「魔女は関係ねぇだろ」
不機嫌MAXな、いつもより更に低い声で言うと、ファイは開きかけた口を閉じた。
「訳分かんないこと言ってねぇで、寝ろ」
枕を投げつける。
「あー、黒様乱暴だー。このお布団お客様用なのにー」
「うっせぇよ」
旅館で働くことになった時、一行は当然従業員用の部屋が充てられるのだろうと思っていた。女将もそのつもりだっただろう。
しかし従業員用の部屋は一つしか空いておらず、しかも一人部屋なので流石に男3人で雑魚寝するのは無理だった。それでやむを得ず客室を二人が使うことになったのだ。部屋割りを決める時、モコナが言った。
「モコナ、小狼と一緒!」
モコナと一緒と言うことは、必然的に一人部屋、従業員用の部屋になる。
「えっっと。お二人がそれでよければおれは良いです」
「別にいいよー。ね、黒ぽん?」
「何でもいい」
モコナは意味深な笑顔をファイと黒鋼に向け、
「じゃ、小狼、行こう〜」
と言いながら、小狼の肩に飛び乗ったのだった。


枕を投げつけた黒鋼は、電気を消し、自分も横になると瞳を閉じた。
しかし隣のファイがごそごそと動いていて寝る様子が無い。
不審に思った黒鋼は、気配を消して様子を見ることにした。
「はぁ・・・」
やがてファイの溜息が聞こえてきた。
「はぁ・・・」
小さな溜息は、不規則な間隔で何度も繰り返された。
「はぁ・・・」
何度目かのファイの溜息に、苛立ちを募らせた黒鋼はガバッと起き上がって言った。
「何でっけぇ溜息吐いてんだ、お前は?」
「わぁつ、黒たん、びっくりさせないでよ!」
文句を言うファイに、黒鋼は
「何度も溜息吐いてて、ウルセぇよ。寝れねぇだろ!」
「うっ・・だ、だって・・・」
「何だ」
ファイの瞳の端に、涙が溜まっている。今の言葉で涙が溢れたわけでは無いだろう。
「黒たん・・・んーん、何でも無い、ゴメンね、起こしちゃって」
ファイはふわりと笑うと、反対を向いて横になった。
「あぁ?」
黒鋼は不機嫌を露わにしてファイをこちらに向かせた。
「何でもねぇ訳、ねぇだろ?言え!」
「何でもないですー!」
ファイは頑として否定する。
(まぁ、何となく解るけどな)
黒鋼は内心呆れながら、やむを得ず強硬手段に出ることにした。
「おい」
「もう寝ましたー」
ファイが瞳を閉じたまま返事をする。
「下手な寝たふりだな」
黒鋼は笑いながらファイの顎に手を掛ける。
「寝てるもーん」
ファイはそっぽを向こうとしたが、黒鋼は強引に口づけた。
「んん!」
暫く唇を貪り、やがてファイの身体から力が抜けると、その上にのしかかる。寝間着代わりの浴衣の帯を解くまでの間、ファイは抵抗と呼ぶには弱々しい腕の動きで黒鋼の浴衣を掴んでいた。
暗闇の中に浮かび上がる白い肌に口づける。
「んっ・・・はぁっ・・・」
ファイはすぐに嬌声を上げ始めた。
「はぁっ・・・んんっ・・・あぁぁっ・・・」
胸から腹へと黒鋼の唇が動き、下腹部へと辿り着く。
「あぁっ・・・やぁっ・・やめっ・・・黒、さまぁ・・・だめっ」
ファイがイヤイヤする。
「駄目じゃねぇだろ?」
ファイが黒鋼の頭を掴んで自分から引きはがそうとする。黒鋼はその腕を掴み返すと腰の横で布団に縫い付けた。
「お前な、いいかげんにしろよ」
凄味を含む声音に、身が竦むがそれも半分だ。
ファイは、これから訪れるだろう激しい愛撫に期待している自分がいることも、認めざるを得なかった。


「ふぁぁん・・・もぉ・・・ダメ、イクっ」
黒鋼の上で絶頂を迎える寸前、黒鋼がぴたりと腰の動きを止めた。
「・・・?黒たん?」
「お預けだ」
「やぁあぁん・・・やぁん・・・」
自ら腰を動かし、ねだるファイに黒鋼は言った。
「女に妬いたのか?」
「え?」
「また不安になってんだろ?お前の悪い癖だ」
言い当てられ、ファイは息を詰めた。
「俺がどれだけお前にいかれているか、解らせてやるよ」
脱がせた浴衣の帯を手に取る。
ファイを腰から下ろしうつぶせにすると、後ろ手に縛り上げた。
そのまま腰を持ち上げ、今度は後から突く。
「あぁぁっ・・・はぁぁんっ・・・」
ファイが昂みを迎えそうになると、また体位を変えた。
「黒様・・・ああぁんんっ・・・はぁっ・・・だ、あ・・・もっと・・・」
「足りねぇか?出したら仕置きな」
「やぁんっ・・・あぁっ・・・はぁぁっ・・・あああっ・・・」
イキそうでイケない。
まるで無間地獄のような夜を過ごしたファイは、朝焼けが始まる頃にやっと両腕を解放された。
「ほら、掴まれ」
「あぁんっ・・・あぁんっ・・・」
対面座位に座らされ、ファイはやっと自由になった両腕で黒鋼の肩と、頭に掴まる。
口づけされ、突き上げられ、張り詰めた互いの熱が更に膨張する。
「どれだけ愛されてるか、分かったか?」
「くろ・・あんっ・・・うんっ・・・うんっ・・・あっあぁんっ・・・」
ファイは黒鋼の熱が放たれたと同時に昂みを迎え、そのまま意識を失った。



「黒鋼さん、ファイさん、おはようございます」
部屋の入口から小狼が呼びかける。
「おう、入れ」
「朝食に見えないので来てみたんですけど・・・」
「二人とも、具合悪い?大丈夫?」
小狼の懐からモコナも心配そうに顔を出した。
「大丈夫だ、俺はな。コイツは疲れが出たんだろ、今日は休ませる」
「ファイお熱があるの?」
「熱はねぇ。疲れが溜まったんだろ。よく寝てるから放っておけ」
心配そうに顔を見合わせた小狼とモコナだったが、小狼も仕事に行かなければならない。
「分かりました。あ、黒鋼さん、早く行かないと食べ損ないますよ?」
「おう」
女将は時間に厳しい。黒鋼は二人を促して部屋を出た。時計を見ると食事の時間は後10分くらいしか無いが問題ないだろう。途中で小狼達と別れ、食堂に向かう。
「ま、今日は起き上がれるわけねぇな」
一人呟いたその頃、ファイもまた頬を膨らませていた。
「もぉ・・・なんで小狼君達を部屋に入れるかなぁ・・・寝たふりするしか無いじゃん・・・」
腰をさすりながら、一晩中愛された記憶を反芻する。
「・・・ちょっとは自信持っても良いのかな・・・」
呟きが黒鋼の耳に入っていたなら、お仕置きは一晩では済まないに違いないことなど、ファイは気付いていないのだった。



 END





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